直腸がんは結腸がんとともに大腸がんの中に含められます。直腸とは肛門から約15cmほどの部位で、直腸S字結腸部、上部直腸、下部直腸に分けることができます。直腸は男性の場合は膀胱や前立腺、精嚢があり、女性の場合は膀胱、膣、子宮、卵巣などがあるため、比較的手術が難しい深部にあることになります。

直腸がんの最初に現れる症状は血便が最も多く、便とは関係なく血液のみが排泄される場合もあります。初期の直腸がんに伴うこうした血便は、痛みを伴うことはほとんどありません。直腸は元々ポリープができやすい部位であり、このポリープが悪性であった場合が直腸がんということになります。 健康な人が血便を目の当たりにした時には、直腸がんや結腸がんなどを疑うことも多いようですが、痔の既往症がある人の場合、多くのケースで痔の再発と勘違いし、軽く見過ごしてしまうことがあるようです。しかし血液が便と混じり、悪臭を放つようであれば直腸がんを疑うべきでしょう。

この他の直腸がんの症状としては、便秘や、便秘と下痢が交互に起こり、それを繰り返すといったようなことも見られます。通常の生活でこのような症状を経験したことがなく、また血便も同時に見られるようであれば、直ちに専門医の精密検査を受けるべきでしょう。

現在直腸がんは早期に発見された場合には予後は悪くなく、しかも内視鏡を用いた手術によって病巣部を取り除くことも可能であるため、早期発見が何よりも重要となります。 直腸がんが進行した場合には、がんが腫れ上がることにより、腸閉塞を起こすこともあります。通常の腸閉塞の場合であれば、嘔吐や腹痛、腹部膨満感などを伴うことがほとんどですが、直腸がんによって引き起こされる腸閉塞では、こうしたほかの症状がなく、いきなり腸閉塞が起こることがあるというのも特徴的な症状です

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