咽頭というのは喉の奥の方にあり、鼻の奥から食道の入口までの約12cmほどの器官です。咽頭は上下の位置から、鼻の奥の方を上咽頭、扁桃腺の周囲にあたる部分を中咽頭、それより下で食道の入口あたりまでを下咽頭と分けて呼ばれます。それに伴い発生するがんも、上咽頭がん、中咽頭がん、下咽頭がんと区別されています。部位が異なることにより、隣接する臓器やリンパ節までの距離などが違ってくるため、各々のがんは発生する原因や症状などは少しずつ異なっています。

咽頭がんでも上咽頭がんの場合には、鼻血や鼻汁、また血性膿性鼻汁と呼ばれる悪臭を伴う鼻汁が出ることがあります。また腫瘍が耳管開口部を圧迫した場合には片側だけの難聴や耳鳴り、エレベーターで急上昇する際などに見られるような耳詰まりなどの症状が現れます。

上咽頭は脳にも近いため、脳を圧迫したり、浸潤した場合には視神経障害や三叉神経痛のような症状も見られます 。 中咽頭がんの場合は扁桃腺や舌根にがんができる場合が多く、食べ物や飲み物などが飲み込みにくい、しみるなどといった症状が見られます。さらに進行してくるとしゃべりにくくなったり、口が開かない、呼吸困難などといった症状も現れ、ひじょうに大きな痛みを伴います。

下咽頭がんで見られる最も特徴的な症状には嚥下障害があります。また声がかすれたり、耳の奥の方に痛みを感じることもあります。咽頭がんはいずれの場合でもリンパ節への転移が多く、その場合にはリンパ節が腫れてきます。

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